page_top
人気記事ランキング

年末調整で天引きされた税金を取り戻そう!

向井 洋平
IICパートナーズ 常務取締役
年金数理人
1級DCプランナー
2017年11月06日

国民の義務である納税。収入を得ている人は皆、その収入の種類や金額に応じて国や自治体に税金を納めなければなりません。

会社員の場合、毎月の給与や賞与から自動的に税金が天引きされるため、税金を納めているという実感を持ちにくく、どういう仕組みで税金が計算されているのかよく理解していない方がほとんどではないでしょうか。

しかしそんな会社員にも年に1回、年末調整という税金を精算する機会が訪れます。これは、給与天引きにより先取りされた税金を取り戻すための機会でもありますから、税金の仕組みを理解して、手続き漏れのないようにしましょう。

税金と年末調整の基本的な考え方

税金にはいろんな種類のものがありますが、個人が年間の収入に応じて納める税金が所得税と住民税です。所得税は国に納める税金、住民税は自分の住んでいる都道府県や市町村に納める税金です。

所得税や住民税は、年間の収入から必要経費として認められる金額を差し引き(これを所得といいます)、所得の水準に応じて定められた税率を掛けることで計算されます。なお、所得水準が高くなるほど税率も高くなり、手元に残る割合は小さくなります(詳細は給与・賞与よりも税金がお得な退職金を参照)。

したがって、年末を迎えて年間の収入が確定してから税金を計算し、年が明けてから前年分の税金を納めるというのが原則的な考え方となります。実際、毎年3月15日までに行う所得税の確定申告によって最終的な税額が計算され、税金が精算されることとなります。

しかし会社員の場合、給与や賞与からの天引きによってあらかじめ税金が徴収される仕組みになっています。個々人がそれぞれ税金を納める手間を省くという意味もありますが、天引きを行うことで国は確実に税金を徴収することができ、そしてほとんどの場合、本来納めるべき税金より多い額を先に徴収されることとなります。

そして12月に入って12月分の給与・賞与の計算が行われ、年間の収入額が確定したところで改めて税金の額を計算し、取りすぎた分については返してもらうというのが年末調整の手続きです。

年末調整で取り戻せるもの~人的な控除と各種保険料控除

上記のとおり、税金は収入から必要経費を差し引いた所得に応じて計算されます。必要経費として認められているもののうち、以下の項目については会社側で金額を把握(計算)することができるため、年末調整時には自動的に反映されています。

全員に一律に認められている基礎控除(38万円)
・ 会社員に認められている給与所得控除(収入額を計算式に当てはめて算出)
・ 税金とともに天引きされている厚生年金や健康保険などの社会保険料控除
・ 同じく天引きで支払っている確定拠出年金の掛金(企業型へのマッチング拠出及び個人型の掛金)

しかし必要経費として差し引くことができるものはこれだけではありません。年末調整では、人的な控除と各種保険料に関する控除の、大きく分けて2種類の控除を受けることができます。

人的な控除には、扶養家族に対する控除(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除)や障害者控除、寡婦(夫)控除があり、以下のようなケースに該当する場合は必要事項を申告書に記入して提出することで、控除額を上乗せすることができます。

・ 配偶者の収入が一定金額以下の場合(主として専業主婦・夫やパート社員である場合)
・ 高校生以上の子どもや、親を扶養している場合
・ 本人や扶養家族が障害者である場合
・ 夫または妻と死別または離婚し、かつ扶養家族がいる場合など

また、各種保険料控除には以下のような種類があり、申告書に記入するとともに、保険会社や公的機関が発行する保険料等の証明書類を添付して提出することで、控除額を上乗せすることができます。

・ 民間の生命保険(医療保険や個人年金を含む)に加入している場合の生命保険料控除
・ 地震保険に加入している場合の地震保険料控除
・ 扶養家族の国民健康保険や介護保険、国民年金の保険料等を支払った場合の社会保険料控除
※国民健康保険や介護保険については証明書類の添付は不要
・ 個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の掛金を口座振替で支払った場合の小規模企業共済等掛金控除

生命保険や地震保険の保険料の証明書類は各保険会社から、国民年金保険料の証明書類は日本年金機構から、iDeCo掛金の証明書類は国民年金基金連合会から、それぞれ10月以降に送られてきますので(ほとんどはハガキで届く)、捨てずにとっておきましょう。

なお、社会保険料とiDeCo掛金についてはその全額を収入金額から差し引くことができますが、生命保険や地震保険の保険料については、控除額に上限や控除できる割合が定められています。

年末調整で取り戻せるもの~住宅ローン控除

年末調整では、これらの必要経費としての控除に加え、住宅ローン残高に応じた控除も受けることができます。人的な控除や各種保険料の控除が収入金額からの控除であるのに対して、住宅ローン控除は税率を掛けたあとの税額そのものから一定額を差し引くことができるため、非常に効果が高くなります。

控除の対象となるかどうかや、控除額の上限、控除率、控除できる期間については、対象となる住宅に住み始めた年によって取り扱いが異なりますが、2009年以降は住み始めた最初の年から10年間、基本的に年末のローン残高の1%が税額から控除されることとなります(詳細は国税庁Webサイトの該当ページを参照)。

住宅ローン控除を受けるには、税務署から送られる申告書とともに、金融機関が発行する住宅ローン残高の証明書を提出する必要があります。金融機関からは、毎年10月以降にその年の年末時点の残高証明書が届きますが、税務署からの申告書については最初の年に10年分まとめて届くので、大切に保管しておきましょう。

なお、年末調整で住宅ローン控除を受けることができるのは2年目以降であり、最初の年については確定申告を行う必要があります。金融機関からの残高証明書も、1年目の分に関しては年が明けてからの発行となります。

年末調整全般については国税庁Webサイトの年末調整がよくわかるページに給与所得者向けのリーフレットが掲載されていますので、こちらも参考にしてください。

確定申告が必要なもの

年末調整では控除を受けられず、確定申告が必要となるものには、1年目の住宅ローン控除のほかにも以下のようなものがあります。

・ 病院や薬局で支払った医療費に関する控除
・ 寄付金(ふるさと納税を含む)に関する控除
・ 災害が盗難などにより被害を受けた場合の雑損控除

また、本来は年末調整で控除を受けられるものについて、手続きが漏れたり間に合わなかったものについても、翌年に確定申告を行うことで控除を受けることができます。

確定申告の手続きなどについては、また機会を改めて解説したいと思います。

人気の記事

あわせて読みたい