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給与・賞与よりも税金がお得な退職金

向井 洋平
IICパートナーズ 常務取締役
年金数理人
1級DCプランナー
2017年10月02日

毎月給料から天引きされる税金、その金額がどういう仕組みで計算されているか知っていますか?

税金の仕組みはたいへん複雑で、収入の種類によっても計算方法が細かく分かれています。そのすべてを理解することは難しいですが、基本的なところを押さえておくだけでも税金を節約し、手元に残るお金を増やすことにつながります。

今回は、会社員にとっての収入源である給与・賞与と退職金にかかる税金について見ていきましょう。

注:以下は2017年時点の税制に基づく内容です。

高収入になるほど高くなる税率

給与や退職金に限らず、何らかの手段によって得た収入に対しては税金がかかります。その計算方法は、収入の金額から必要経費を差し引き、残った金額(これを「所得」と呼びます)に税率を掛けるというのが基本的な考え方です。

収入に対する税金には国が徴収する所得税と、市区町村が徴収する住民税の2種類あります。住民税は基本的に一律10%となっていますが、所得税については所得の額が大きくなるほど税率が高く設定されていて、それを表したのが下の図です。

例えば所得が300万円の人の場合、そこから所得が10万円増えても所得税が10%、住民税が10%、計20%の税金がかかるので、実質的な収入増は8万円になります。

これが所得500万円の人になると、所得税が20%、住民税が10%、計30%の税金がかかるので、10万円の所得増に対して実質的な収入増は7万円になります。つまり、収入の多い人ほどそれ以上収入が増えても手元に残るお金はそれほど増えなくなります。

一方で、必要経費が増えるとその分所得が減るので、税金の額も減らすことができます。そしてその効果は収入の高い人ほど大きくなります。

必要経費が10万円増えた場合、もともとの所得が300万円だった人は2万円(=10万円×20%)税金が減りますが、所得500万円だった人は3万円(=10万円×30%)税金が減ることになります。

給与収入から差し引ける必要経費

税金を計算する際に収入から差し引くことのできる必要経費については、収入の種類によって細かく定められています。給与及び賞与による年間収入から差し引くことができる必要経費(控除)には以下のようなものがあります(なお金額は所得税を計算する際の額であり、住民税を計算する際の額は一部異なります)。

・ 給与所得控除:収入金額の一定割合(収入金額が高くなるほど割合は小さくなる)
・ 基礎控除:一律38万円
・ 社会保険料控除:厚生年金や健康保険などの社会保険の保険料として支払った額
・ 配偶者控除:配偶者の収入が一定額以下の場合、38万円
・ 扶養控除:同居している高校生や大学生の子ども、70歳以上の父母や祖父母を扶養している場合、1人につき38万円~63万円

…など。

配偶者控除や扶養控除については家族構成などによって控除の有無や金額が異なりますが、給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除についてはすべての会社員が対象となります。必要経費としてこの3種類のみを考慮した場合、年収に応じた必要経費と所得の額は、概ね以下のとおりとなります。

なおこれはあくまで一定の前提を置いた概算であり、実際の金額とは異なる点に注意してください。

退職金収入から差し引ける必要経費

上で見たとおり、給与収入については配偶者控除などの追加的な控除がなければ、年収の3~6割程度が所得となり、これに対して税率を掛けたものが税金として徴収されます。では退職金の収入についてはどうでしょうか。

実は退職金に対しては「退職所得控除」という大きな必要経費が認められています。退職金は退職後の生活費を賄うための大切な資金だからです。その具体的な計算式は次のように定められています。

つまり勤続20年までは1年あたり40万円、それ以降は1年あたり70万円が必要経費として認められるということです。

そのうえ、退職所得控除を差し引いた残りの金額のうちの半分についても必要経費に加えることができます。この結果、例えば勤続38年で退職金を受け取った場合、退職金額に応じた必要経費と所得の額は以下のとおりとなります。

退職金が2060万円までなら所得は0なので税金はかかりません。2060万円を超えても、給与収入の場合と比べると所得はかなり小さく計算されます。したがって、金額が同じであれば、給与として受け取るよりも退職時に退職金として受け取ったほうが税金が少なくて済み、手元により多くのお金を残すことができます。

ちなみに、この仕組みを利用して税金を節約できるのが個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)です。iDeCoに積み立てた掛金は必要経費として給与収入から差し引くことができます。そして受け取るときは退職金と同じ扱いとなり、退職所得控除を受けることができます(一時金で受け取る場合)。

税金の観点から見ると、iDeCoは給与の一部を退職金化することで、より大きな控除を受けられる仕組みだということができます。

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