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老後資金の三本柱とは?

向井 洋平
IICパートナーズ 常務取締役
年金数理人
1級DCプランナー
2017年10月02日

老後の支出をまかなうための資金は、その出どころに応じて大きく3つに分けることができます。

1つ目は国から支給される公的年金

会社員だった人に支給される厚生年金と、自営業者や専業主婦(夫)だった人に支給される国民年金があります。

2つ目は会社から支給される退職金や企業年金

退職金制度のある会社の会社員がその支給対象となります。

3つ目は自己積立による資金

現役時代の収入の一部を積み立てておくことで確保しておく資金です。

1つ目の公的年金だけでは、老後に必要な支出を全てまかなうのに十分とは言えません。しかし公的年金があてにならないということでは決してなく、今も将来も老後資金の第1の柱であることには変わりはありません。

重要なのは、第2、第3の柱を組み合わせていくことで、老後資金の「重み」を支えていくということであり、そのためにはそれぞれの柱の「太さ」や「性質」を把握しておくことが不可欠です。

第1の柱~公的年金

公的年金には、原則として65歳から支給される「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があります。老齢基礎年金は国民年金とも呼ばれ、全国民に共通して支給されるものです。現役時代に会社員だった人には、これに加えて老齢厚生年金が支給されることとなります。

老齢基礎年金の支給額は全員一律であり、月額で約6.5万円です。ただしこれは20歳から60歳になるまでの40年間、年金保険料を全て納めていた場合の金額であり、保険料が未納であったり、保険料の一部または全部を免除されていた期間がある場合は、その期間に応じて減額されることとなります。

なお、会社員が給与から天引きされる厚生年金保険料には基礎年金に対応する部分も含まれています。また、会社員の配偶者が専業主婦(夫)である場合は、会社を通じて手続きを行うことで被扶養者となり、配偶者自身は年金保険料を納める必要はなくなります(厚生年金保険料に夫婦の基礎年金に対応する部分が含まれる扱いとなる)。

会社員本人が老齢基礎年金に上乗せして受給する老齢厚生年金の月額は現役時代の収入に応じて決まり、大まかには「会社員としての生涯年収÷10,000×4.5」により計算することができます。

例えば、勤務期間が40年、その間の平均年収が500万円であれば、生涯年収は20,000万円となり、これを上の式に当てはめるとおよそ9万円となります。老齢基礎年金は上記のとおり一律6.5万円ですから、公的年金の合計は月額15.5万円となります。

自分や配偶者の実際の加入記録や将来の年金見込み額については、年に1回届く「ねんきん定期便」のほか、日本年金機構の「ねんきんネット」に登録することでいつでも確認できますから、こうした仕組みも活用するとよいでしょう。

公的年金の最大の特徴は、生きている限り受給できる終身年金であることです。自分が長生きしたからといって資金が底をつくことはありません。従って、必要最低限の老後の生活資金についてはまず公的年金でまかない、それだけでは不足する部分や生活費以外の余裕資金、予備資金を第2、第3の柱でまかなうというのが基本的な考え方になります。

第2の柱~退職金・企業年金

退職金や企業年金の有無やその金額水準、計算方式などは、会社によってまちまちです。したがって、自分の勤めている会社の退職金や企業年金がどのような仕組みになっているのかをまず把握する必要があります。

退職金の計算方式は大きく分けて3つあります。

1つ目は、退職時の給与(基本給など)に勤続年数に応じた係数を掛けて計算する方式、2つ目は退職時の勤続年数や等級などに応じた退職金額があらかじめ決められている方式、3つ目は勤続年数や等級などに応じて毎年ポイントを加算していき、その累積によって退職金を計算する方式です。

最近では3つ目の「ポイント制」を採用する企業が多くなってきました。会社によっては年に1回程度、給与明細など合わせて退職金ポイントの通知を行っているケースもありますので、しっかり確認しておきましょう。

また、企業年金には大きく「確定給付」と「確定拠出」の2つの種類があります。
確定給付年金は、退職金の原資を計画的に外部に積み立てておくことで、退職金を確実に支給するための仕組みと考えておけばよいでしょう。少なくとも20年以上の勤続期間があれば、退職金を年金(分割払い)で受け取ることもできます。

もう1つの確定拠出年金は、従来の退職金とは異なり、在職中に会社が各従業員の口座に毎月掛金を拠出し、各従業員は自らの選択した方法によりその掛金を運用して退職金を積み立てる仕組みです。確定拠出年金に加入している場合は、少なくとも年1回は積立金の残高に関する通知があるほか、通常は専用のWebサイトが用意されており、いつでも残高等を確認することができます。

なお、確定拠出年金については中途退職した場合でも原則として60歳までは引き出しできないため、老後資金専用の積立制度と言うこともできます。

このほか、中小企業等が対象となる共済制度を利用して退職金の積立を行っている会社もあります。中には複数の制度を採用しているケースもありますから、自社の退職金・企業年金制度の構成がどうなっているのかを把握しておくことが重要です。

第3の柱~自己積立

第1の柱は国、第2の柱は会社が用意してくれるのに対して、第3の柱は給与や賞与から自分で用意するものです。積み立ての方法には貯蓄、投資、保険など様々な方法がありますが、老後資金の積み立てには、第2の柱にあった確定拠出年金の仕組みを活用するのが有効です。

企業で実施されている確定拠出年金のうち、3割以上の制度で加入者が自分の給与から掛金を上乗せできる「マッチング拠出」の仕組みが導入されています。また、給与(または賞与)の一部について、これを給与として受け取らずに確定拠出年金の掛金に充当する選択肢を設けている会社もあります。

給与等のうち、掛金に上乗せ(充当)された部分ついては税制上、所得から控除されるため、所得税や住民税の負担を減らすことができます。また、確定拠出年金で運用した資産の運用益は非課税となっています。

会社で確定拠出年金を実施していない場合は、個人単位で加入する確定拠出年金(iDeCo、イデコ)を利用することができます。iDeCoに関しても、毎月積み立てる掛金については所得から控除され、運用益は非課税となっています。

税制上の優遇がある制度としては、確定拠出年金のほかに「NISA」や2018年からはじまる「つみたてNISA」があります。毎年一定の金額の範囲内で購入した上場株式や投資信託に対して、運用益が一定期間非課税となる制度です。第3の柱である自己積立については、こうした税制優遇の仕組みをうまく活用しながら積み立てていくのがよいでしょう。

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