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~「公的年金」基礎知識~ 気になる老齢年金の受給額とは?

向井 洋平
IICパートナーズ 常務取締役
年金数理人
1級DCプランナー
2017年10月02日

20歳を迎えたら、原則としてすべての国民が納めることになる国民年金。長年払い続けてきて、いざ自分が老齢年金の受給年齢を迎えたときに、一体いくらもらえるか気になったことはありませんか?

受給額のおおよそのメドがつけば、老後のマネープランも立てやすいもの。現時点での老齢年金の受給額について、ポイントを解説します。

老齢年金の仕組みと平均受給額

(1)老齢年金の仕組み

前提として、まずは公的年金の仕組みをおさらいしておきましょう。

公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。なお、厚生年金保険料には、国民年金保険料に相当する部分も含まれる扱いとなっています。

国民年金は、国民全員が20歳になったときから加入し、60歳に達するまで納付し続けます。満額支払った場合は、40年×12カ月(計480カ月)分の保険料を納めたことになります。

国民年金には「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」があり、今回説明するのは、65歳に達したら受給することができる「老齢基礎年金」です。

一方厚生年金は、主に会社に勤めている人(国民年金第2号被保険者)が加入する年金制度で、国民年金の基礎年金に上乗せして受給されます。厚生年金も受給することができ、これを「老齢厚生年金」と呼びます。

(2)老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い

国民年金の保険料を納めた人が、65歳に達した際に受給するのが「老齢基礎年金」です。受け取る額は、単純に加入期間の長さによって決まります。

一方、「老齢厚生年金」は、サラリーマンや公務員で厚生年金に加入していた人が受給する年金のことをいいます。加入期間の長さのほか、賃金の額や賞与の額など諸要素を勘案して受給額が決まります。

(3)老齢年金の受給要件

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの満額(40年間・480カ月)を納めなくても、10年分以上の保険料を納めれば65歳から支給されます。

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給要件を満たした人(10年分以上保険料を納めた人)で、厚生年金の加入期間(会社に勤めていた期間)が1カ月以上あれば、65歳から支給されます。なお、厚生年金の加入期間が1年以上であれば、特別支給で60歳~64歳の間でも受給することができる場合があります。

(4)おおよその平均受給額

今、老齢年金を受給している人たちが一体いくら受け取っているのか、気になりますよね。

2017年3月に厚生労働省が公表した「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の老齢年金の平均月額は5.5万円、厚生年金の老齢年金の平均月額は14.8万円となっています。

老齢基礎年金は加入期間に応じて受給額が変わるため、長く支払えばそれだけ多くの金額を受給することになります。
一方、厚生年金は加入期間のほかに賃金や賞与などの諸要素が加味されますので、男性のほうが多く支給される傾向にあります。データを性別ごとに見ていくと、65歳以上で男性が17.9万円なのに対し、女性は6万円少ない10.9万円にとどまっています。

現在年金を受給している世代は、男性が働き、女性が家庭を守る専業主婦だった家庭が一般的ですので、一世帯あたりの平均月額受給額は、男性の厚生年金(基礎年金含む)17.9万円に、女性の国民年金5.5万円を加えた、約23万円となります。
あくまで参考値ですが、この金額についてどのように感じるでしょうか。

老齢年金の受給額の計算方法

(1)老齢基礎年金

国民年金の老齢年金の場合は、単純に加入時期によって受給額が算出されることになります。

平成29年4月現在、20歳~60歳まで満額支払った場合の人の受給額は77万9300円と定められています(2016年4月分からの年金額)。それよりも少ない期間支払った人については、下記のとおりの計算式で算出します。

出典:日本年金機構HP「国民年金(老齢基礎年金)」

(2)老齢厚生年金

老齢厚生年金は老齢基礎年金とは違い、加入期間以外にも賃金の額や賞与等によって受給額が変わるほか、受給開始年齢である65歳より繰り上げた特別受給の場合に計算式が異なるなど、算出はかなり複雑です。

ここでは一例として、昭和16年4月2日以降に生まれた人のケースを見てみましょう。
老齢厚生年金は、「定額部分」「報酬比例部分」「加給年金額」の3つを算出して合計します。

・定額部分
定額部分は、「1,626円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数」で計算します。
生年月日に応じた率については、詳細に定められています。

参考:日本年金機構HP「年金額の計算に用いる数値」

・報酬比例部分
報酬比例部分については、下記の計算式で算出します。
なお、①と②で算出した額を比べて、AがBを下回る場合は、Bが報酬比例部分の年金額となります。

A.報酬比例部分の年金額(本来水準)

B.報酬比例部分の年金額(従前額保障)

・加給年金額
扶養家族や保険加入期間など、一定の要件を満たした場合に加算される金額です。加算には所定の届出が必要です。

以上、参考:日本年金機構HP「老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」

このように、老齢厚生年金の計算はかなり複雑ですので、加入期間だけでなく賃金などさまざまな要素で変わるという点と、「定額部分」のほかに「報酬比例部分」「加給年金額」を計算して受給額を出す、という点を押さえておけばよいでしょう。

老齢年金を受給する場合の注意点

(1)国民年金の受給要件を満たすか

老齢年金は、いずれも国民年金の受給要件を満たしていることが大前提です。ですから、通算して25年分以上の保険料を納付していないと、受給資格を満たさず一切受給することができなくなってしまいます。

サラリーマンの場合は会社が手続を行うため、加入漏れのケースは少ないかもしれませんが、会社勤めから自営業に転職した人などは、国民年金に加入していないと受給資格を満たさない可能性がありますので、注意しましょう。

(2)免除期間がある場合

20歳のときにまだ学生で、国民年金の保険料の免除を受けていた場合など、一部に免除期間がある場合は計算がさらに複雑になります。
日本年金機構のパンフレット「老齢年金ガイド(平成28年版)」などが参考になりますが、具体的な判断に迷う場合は、年金事務所などの窓口へのご相談をおすすめします。

日本年金機構パンフレット「老齢年金ガイド(平成28年版)」

ーまとめー

老齢年金が一体いくらもらえるかは、今後の年金制度の設計や物価の動向などによりますので、現在支給されている水準が将来的にも当てはまるとは限りません。とはいえ、現在のシニア世代が受給している金額を知ることも、将来のマネープランを考える上でひとつの参考になるのではないでしょうか。

今後、自分が歳を重ねていく上で避けて通れない年金のお話。今からでも意識しておくことが大切かもしれません。

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