page_top
人気記事ランキング

~「公的年金」基礎知識~ 国民年金・厚生年金の仕組みとは?

向井 洋平
IICパートナーズ 常務取締役
年金数理人
1級DCプランナー
2017年10月02日

超高齢化社会では、定年退職した後の長い人生を自分の蓄えだけで生きていくのは不安なものです。また、ケガや病気で重い障害を負ってしまう、あるいは一家の大黒柱が亡くなってしまうといった予期せぬ事態も起こり得ます。こうした誰もが負っている人生のリスクに備えて、皆が安心して生活を送るための社会的な仕組みが考えられました。これが「公的年金」の制度です。

会社の人事・総務の担当者なら、たびたび目にする国民年金、厚生年金といったフレーズ。年金の仕組みは一見すると複雑なようですが、ポイントを押さえれば十分理解できますよ。

公的年金の種類

公的年金には、「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。どちらに加入するかは、その人の働き方によって決まります。

まず国民年金は、日本に住んでいるすべての20歳~60歳未満の人が加入する制度です。厚生年金は、厚生年金保険が適用される会社にお勤めの人や、公務員などが加入する制度です。

ちなみに、以前は公務員や私立学校の教職員などが加入する共済年金の制度がありましたが、平成27年10月以降は厚生年金に一元化されています。

年金制度の特徴

(1)国民年金
・すべての国民の基礎年金
「国民年金」は、一定の年齢に達した場合(老齢)・病気やケガを負った場合(障害)・死亡した場合に応じて、「基礎年金」を受け取ることのできる制度です。

日本に住むすべての国民が、20歳を迎えたら60歳になるまで、毎月一定額を納付することになります。いざというときのリスクに備えた、公的な保険制度のようなものですね。

・国民年金の種類
国民年金には次の3種類があり、区分によって対象者や保険料の納付方法が変わってきます。たとえば、一般的な会社勤めの人は第2号被保険者に当たります。その配偶者で被扶養者は第3号に該当します。一覧表にすると、おおむね下記のとおりとなります。

(2)厚生年金
・会社員のための年金
厚生年金は、国民の中でも会社に勤めている人などのライフプランを守るために、(1)の第2号被保険者の人の基礎年金に上乗せして保障する年金制度です。国民年金が1階部分だとすれば、厚生年金は2階部分になります。2階建てになっている分、将来的にもらえる年金の額も増えるというわけです。

なお、厚生年金の保険料には国民年金の保険料が含まれていますので、厚生年金を納めていれば国民年金を改めて納める必要はありません。

出典:厚生労働省HP「日本の公的年金は2階建て」より一部抜粋

・加入義務のある人
70歳未満の人は、会社員である間は原則として全員加入する義務があります。20歳未満で入社した人でも、厚生年金に加入します。正社員でなくても、正社員のおよそ4分の3以上働いていて一定の要件を満たしている場合は、パートや派遣社員でも加入することとなっています。

入社すれば会社が手続をすることになりますので、気付かないうちに厚生年金保険料を天引きされていた、という人がほとんどではないでしょうか。

・厚生年金保険料
厚生年金は2004年の年金改革から毎年段階的に引き上げられており、たとえば平成29年以降の保険料率は18.3%です。この金額を本人と会社とが半分ずつ負担することになっており、本人が納付する分は毎月の給与から控除されています。会社にお勤めの人は、毎月発行される給与明細の控除項目欄を見てみましょう。厚生年金保険料が天引きされているのがわかるはずです。

公的年金を上乗せするには

このように、国民年金や厚生年金というセーフティーネットが用意されていますが、それだけでは不安という人のために、将来受け取れる年金額を増やす仕組みがあります。

(1)国民年金基金
自営業などの国民年金第1号被保険者の人は、厚生年金のある会社員や公務員と比べて保障が少なく、不安を感じるかもしれません。そこで、これらの年金額の差を埋めるために「国民年金基金制度」が創られました。

国民年金基金制度は公的な年金制度のひとつで、国民年金第1号被保険者の人(自営業など)の年金額を上乗せします。

(2)企業年金
公的な年金制度ではないものの、年金額を上乗せできる制度として企業年金があります。企業年金には「確定給付企業年金」「確定拠出年金」「厚生年金基金」があります。

また、中小企業のための退職金の積立制度である「中小企業退職金共済制度」などもあります。

自分が勤めている会社がどの制度に加入しているかは、一般的には就業規則や退職金規定に規定があるはずですので、目を通して理解しておきましょう。

(3)個人型確定拠出年金(iDeCo)

企業年金の1つである確定拠出年金については、2016年に法律が改正され、職業にかかわらずほぼすべての人が個人で加入できるようになりました。掛金が全額所得控除となる税制メリットを生かして効果的に自分の年金を積み立てることができます。

出典:企業年金連合会HP「企業年金制度」より

ーまとめー

公的年金は、社会全体で国民のリスクをカバーする公的な保険に似た制度です。「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、自営業か会社勤めかなどのライフスタイルに応じて、加入する制度や将来受け取ることのできる年金額が変わってくることをおわかりいただけたでしょうか。

自分が何歳まで生きるか、いつ事故に遭うかなどはわかりません。どんなことがあったとしても、自分と家族が安心して暮らす支えとなるのが公的年金です。自分がどんな公的年金制度に加入しているかを把握することで、将来のマネープランも見えてきます。

人事・総務担当者でなくても、将来の不安を少しでも和らげるために、一国民として年金制度をしっかりと把握しておきたいものですね。

人気の記事

あわせて読みたい