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夏の暑さをのりきる食事

坂口あや
編集/ライター
アジアンセラピスト
2018年08月09日

今年は猛暑が続く夏。35度を超える暑さの日も多く、体調を崩したり、熱中症で病院に運びこまれたりのニュースが連日続いています。スマートフォンでも午前中から“運動禁止”予報が出るほど。

暑い日が続く時は、私たちの体にも熱がこもっています。特に夏は熱がこもりやすく、放出されにくい季節。そんな体の過不足を整えてくれるのが旬の食材です。そこで今回は、暑さを乗り切るための食事について、国際薬膳師の森沢加代さんにお話を伺いました。

「夏の暑さをのりきる薬膳レシピ」

夏は体に良い水分を蓄えてくれる、滋陰の食材とされる豚肉、熱を取り熱さをやわらげてくれる苦瓜(ゴーヤ)がオススメです

今回のポイント

調理の過程で無駄な油を落とせば、カロリーは抑えられますよ

静岡英和学院大学短期大学部食物学科
(フードコーディネート論 テーブルマネージメント論)
国際薬膳師:森沢加代先生


材料(4人前)

  • ゴーヤ(苦瓜)2本
  • 豚ひき肉 200g
  • サラダ油 大さじ1
  • A生姜みじん切り 5g
  • ネギみじん切り 5g
  • 醤油小さじ2・塩小さじ1・胡麻油大さじ1
  • 付け合わせ
  • 緑豆ご飯
  • 米 2カップ
  • 緑豆 50g

作り方

01.

ゴーヤは2cmくらいの輪切りにし、わたと種をとる

PointAを加えて下味をつける

02.

ひき肉に“A”を加えてよく練り込み、下味をつける

03.

ゴーヤの内側に片栗粉をまぶし、2を詰める

Point内側にしっかりと片栗粉をつけること。また、肉は少しはみ出すくらいを目安に詰め込むようにしましょう。(火が入ると肉が縮むため)

04.

深めのフライパンを熱し、オイルをひいて3を入れる

Point火加減は→中火→弱火の順で加減し、底につかないように鍋を揺すりながら3−4分焼く。

05.

ひっくり返して反対側も焼き、両面が焼けたら火を弱めて水カップ1を加えて蓋をし、柔らかくなるまでしばらく蒸し煮にして、最後に塩で味を整えてできあがり。

Point水が沸くまでは中火、沸いたら弱火にすること。汁が少し残る程度にしておく。

「食べることで健康になる」。中国4,000年の歴史が伝える薬膳の考え

「食事で体を治す」、つまり食薬という考え方を持つ薬膳。具合が悪くなって生薬で治すのもよいですが、普段の食事で具合が悪くならないようにするのが薬膳。けれども薬膳食材は一般的に美味しいとはいい難いイメージがあります。

「いくら体に良くても、美味しくなかったら毎日の食生活に取り入れるのは難しいですよね。それに病気になってしまったら、いつも食べている食事すら受け付けなくなってしまう。ですから、私たちは健康な状態である時に“体を整える食事”を心がけることが大切なのです」と森沢先生。

中国には古くから食べることで病気を治す医食同源という概念があり、周王朝の時代には、皇帝の健康を管理する“食医”という高官がいたといいます。こうしたことからも、健康を維持することが人々にとってどれほど大切なことだったのかということがうかがえますね。

四季の食事で健康な体をつくる

現在はハウス栽培など農業の技術が向上していることもあり、通年で手に入る食材が多くなっていて四季を感じることも少なくなっているかと思いますが、昔は四季のものを食べることで健康を維持する食生活を自然と送っていたように思います。それこそが本来の姿。この考え方は、中国の陰陽五行の思想と通じるものがあるといいます。

「全てのものは“木・火・土・金・水”という5要素によって成り立つとされる陰陽五行の思想では、太陽のめぐりに合わせて食物ができ、そうした食物をとることで私たちは健康を保ってきました。例えば夏には陽が最も強く暑くなるので夏に取れる食材で体を冷まし、冬には陰が強く、寒くなるので、冬の食材で体を温めてあげるといった具合。

季節の食材には、太陽や大地の力を存分に受け取った計り知れないパワーがあります。そうした自然本来の味を楽しむのが薬膳料理の真髄なので、味付けは塩味が基本です。例えば夏に旬を迎えるゴーヤは苦みがありますが、その苦味が夏の消耗した体力を回復してくれるので、できれば少しでもその苦味を取り入れて欲しいです。

ルッコラも本来特有の苦味が胃腸の調子を整えてくれる成分がある食材。このように季節の食材は味も濃厚で、その時期に体が求める栄養素を備えているのです。それは自然の摂理にかなっているんですよね」。

灼熱の夏は涼を感じる食材で体の熱を下げ、胃腸を整えて疲労回復を

薬膳と四季の食材で健康を整える食卓の提案をテーマとする森沢先生によれば、暑さから逃れられない夏は、体内に熱がこもりやすくなる季節。中国の陰陽五行思想によれば、夏は「火」の行。体は火照った体内の熱を発散させようと汗をかいて熱を冷まそうとしますが、発汗しすぎると体の水分が失われます。その水分、実は水を飲むなどすればすぐに補充されるという訳ではありません。

「体に入った水分が五臓を通って初めて体に水が入ってくるようになっているのです。ですから、五臓を整えないと、体内に必要な水分が行き渡らなくなってしまうということになります」森沢先生は言います。

よく夏は「食欲がなくなる」と言われますが、これもそうした水分不足の表れ。発汗によって体内の熱が取れなくなってしまうことが原因なのだそうです。そのため、体内の熱を取ってくれる食材を使って「体にうまく水分が入る食事」をとり、清熱してあげるのも一つの方法です。

体によいとされる食材の多くに「胃腸の働きを整える」、「胃腸の働きを促進する」といった記述が見受けられますが、それは胃腸の働きが体内の水分バランスを調整し、食べ物を体内で栄養分に変換する大切な役割を担っているという証拠。それだけ胃腸の調子を整えることが体にとって大切だということがわかります。

また暑くてイライラすると交感神経が活発になり、怒りっぽくなってしまいがち。そうならないよう、気のおけない仲間と屋外でBBQをしたり、家族でキャンプに行ったりしてリラックスできる雰囲気の中でゆったりと食事を楽しみ、穏やかに過ごすよう心がけることも大切だといえるでしょう。

食べ物は人の体を作るもの。これまでの蓄積が数十年後に出てくるといわれていますが、始めるのは「気づいた時からでも十分」だといいます。少しずつでも続けていけば、だんだんと抵抗力や自然治癒力、免疫力がついていくもの。今から始めたことが、5年先、10年先の自分の体を作っていきます。季節の食材を取り入れた食事で、夏の暑さから体を守ることから始めてみてはいかがですか。

クレジット:Food&Art Studio 楓舎Fuusha3@gmail,com

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